代表あいさつ
遺族の方々にとって亡くなられた大切な人を送る想いは様々ですが、どのような形であってもそれは大切なことだと思います。
近年、葬儀の形も多種多様になり、故人様が好きだったお花で祭壇やお柩・遺影を彩ったり好きなアーティストの曲を流したり、時には故人様の愛用品を式場内に展示したりして故人様を偲ぶ事をよくみかけます。
私自身も葬儀社に務めていた時にこのようなスタイルの葬儀を提案し、ご施行させていただいたことがありましたが、そのご遺族の方は「葬儀後にお家に来られた友人知人に『いいお葬儀でしたね』と言われました」と、おっしゃっておられました。
その言葉を聞いて私も内心ホッとし、当たり前のように葬儀代金を頂戴しておりましたが、一方でそのようなスタイルで葬儀を行うことはご遺族の方々にとって大きな手間と費用がかかるのが実情です。
ただでさえ大切な方を亡くされ、悲観の中にある状態で気忙しくしなければなりません。
ましてや故人様とゆっくりお別れできる最後の時にそのような状況に虐げられることほど悲しい事はありません。
本来、葬儀は見栄や体裁で行うものではなく、参列者に褒めてもらうために行うものでもありません。亡くなられた大切な方を弔う為に、故人様とご遺族の方々がゆっくりとお別れをするために行うものだと私は思います。
おくる想いをカタチに…。
私ども紫音では湯灌(ゆかん)の儀式を主として執り行っています。
葬儀において、出棺の際に最期の対面がございます。その時、口が大きく開いていたり眉間にシワが残っていて苦しそうな表情に見えたり、お顔色が良くなかったりしていたら、ただでさえ悲しい別れ際が更につらい気持ちになりかねません。
それらを解消できるのが、湯灌だと私は自負しております。
在りし日のお姿でお別れしていただきたい。
湯灌の儀式は、葬儀の前、さらに納棺の直前に行います。
お水にお湯を足して程よい温度のぬるま湯を作る、通常とは逆の手順(逆さごと)で行う『 逆さ水の儀 』から始まり、お体はもちろん、洗顔、洗髪、手足の爪をお切りし、髭やお顔の産毛なども剃り、全身を清めていきます。
そして、旅立ちの白装束やお着物、又は故人様の愛用されていたお洋服に着替えさせていただき、生前のお姿に近づけるようご処置と安らかに美しくメイク(ラストメイク・死化粧)を施します。
旅立ちにふさわしく、生前のように美しく安らかなお姿の故人様と共にご遺族の方々が最期の時を過ごすことができれば、大切な方を亡くされたご遺族の悲しい気持ちを、ほんの少し癒してさしあげる事ができると信じています。
時に、ご遺族にも一緒に故人様のお身体をお洗いいただきます。その際、ご遺族の目には涙が溢れていますが、それでいて微笑んでおられます。
死別とは悲しいものですが、「深い悲しみ」と言うとおり、つらいのは「悲しみの長さ」ではなく「悲しみの深さ」なのだと私は感じます。
時が経てば長さは短くもなるでしょう。しかし、悲しみの深さは時間が経っても簡単には埋まらないものです。そんな悲しみの中にいらっしゃるご遺族の皆様の気持ちに寄り添いながら、お亡くなりなられた大切な方をおくる想いを形にして差し上げることが、我々葬送儀式に携わる者の使命だと思います。
有限会社 紫音はその使命を胸に、いつまでも慢心することなく知識や技術はもちろんのこと、接遇においても日々向上に努めて参ります。
代表取締役
吉村 幸治 ・ 北野 和彦 ・ 今橋 誠司